繊細すぎるオタクマイハート
このところ「妙齢の女性」風あるいは「子持ちに見えないシングルマザー」風に暮らしている私だが、中身はただのオタクであることは、ご存知の方も多いだろう。
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Neil Gaiman Dave McKean VIOLENT CASES
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マフィアはマシンガンをバイオリン…いや、バイオレントなケースに潜ませている。
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人間じゃない可能性も含め、ああ、この人の行う暴力がさぞ酷いだろうと思わされる。
被暴力者も同様に描く。その後で行われる暴力は想像するだに恐ろしい。
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ところで、ニール・ゲイマンって誰? という方も多いだろう。
イギリス出身の作家で、1960年10月10日生まれの53歳。活動はTV・映画の脚本、コミックの原作、小説と実に多彩。 |
コミック原作の最新作は…
バットマンの中には、私もまだ見たことのないようなイケメンが隠されているに違いない…可能性は無限大! しかしゲイマン、私のエタニティ・アイドル、バットマンを手にかけてしまったよ…。 ゴッサムシティのクライムアレイ(犯罪通り)。今日は、あのバットマンの葬儀の日だ。 葬儀に参列するのは執事のアルフレッド、ロビン、ゴッサム市警ジム・ゴードンなどの仲間たちのみならず、ジョーカー、ペンギン、リドラー、キャットウーマン…過去に対決した奴らも勢揃い。他にも背景のそこかしこにミスター・フリーズとかいろんなキャラが来てるので、アメコミおたくならニヤニヤ探せばいいじゃない。 参列者であるかつての敵の語る意外なバットマンへの憎しみと愛。アルフレッドによるまさかの新説。そして、自らの死をどう捉えるか戸惑うバットマン自身による「バットマン観」…。 バットマンとは何者だったのかを、葬儀を通じてじっくり描き出す。 ヒーローを殺せる手練など、そうはいない。この作品でゲイマンは、スーパーマンを殺したアラン・ムーアと並び、アメコミ界に燦然と輝くキラーの星となった。 |
SF小説作家でもあるゲイマン。暗く艶っぽいキャラクター描写は、闇の中から削り出した彫刻のよう。頭の中で動き出すのを待って、観察して、デッサンするように書き起こすのだろうか。類まれなるその世界が読める邦訳最新版↓
ノーボディと名付けられた赤ちゃんは意外とすくすく成長。墓石でアルファベットを覚え、イタズラに古代の魔物と対決し、怪我をしたら「ドクター(1936年没)」の元へ…と大冒険だ。そして謎の殺し屋ジャックの魔の手が…! さまざまな時代に生きた、そしてとっくに死んだ幽霊たちの言動にはココロをくすぐられっ放し。 両親となった「ミスター&ミセス・オーエンズ(おそらく19世紀没)」の古風な子育て、ダンディな後見人「サイラス(幽霊じゃないが生者でもない)」の謎の過去、墓場の良識「カイウス・ポンペイウス(紀元前没)」の天然発言。 ちなみに私の一番のお気に入りは、歴史学者「ミス・ルペスク(神の猟犬)」です。ガオガオ。 『コララインとボタンの魔女』
主人公の少年ノーボディを見つめる"観察者"然としたその視点は、『コララインとボタンの魔女』にも通じる。 |
さまざまな神話をモチーフとした作品も多くあり、それぞれに魅力的。 |
2010.3.15号 |
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熱烈に(一部で)ブーム襲来 |
コララインへの愛ゆえに振るわれる魔女の暴力には、身のすくむ思い。人は求めるとき、暴力的になることもある。身に覚えがあるのは私だけではないはずだ…。 |
その点をカバーしているのが、原作には出てこない少年ワイボーン。超常現象と一般常識との橋渡し的に、内気ながらもイイ仕事。これでゲイマン・ワールドやSFを知らない人でも楽しめる。間口を拡げるという意味でもこの作品、素晴らしい出来だ。 |
と、読み返してみると我ながら暑苦しい。私だったらそっと距離を起きたい人材だ。しかしここまで読んでくれたからには私の王子さまである可能性が高いのでぜひメールを寄越していただきたい。maigetu*hotmail.co.jp 。*は@に変換な! |
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