2019.1.22
ティタンは入場曲もスタイルも独特の美意識にあふれていて、特にこのポーズは彼の原点とも言えるのではないか。以前、憧れの選手は誰か尋ねたところ、やはりサブゥーだった。
相変わらず強いゲレーロ兄弟。最強ウルティモ・ゲレーロの20歳下の実弟で、将来性しかない男グラン・ゲレーロが、バックステージでHolaと穏やかな声で近づいて来た。のだが、近づくにつれどんどんでっかく!縮尺が!去年のインタビューの時よりだいぶ巨大化!してる!おい!ハルクか!かっこいいな!
新日本プロレスの公式チャンネルで、この日のバックステージのコメントが公開されていた。タイガーマスク、カリスティコ、獣神サンダー・ライガーが並び、まるで戦いの神々が称え合うような美しい言葉を投げ合っておられた。
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2019は幕張メッセで初開催!
初開催となる幕張メッセ。もちろん行きますとも!
今年は試合カードがすごくいい。まず初日の大阪大会では、第一試合から外道、石森太二が登場だ。世界中どこに行っても観客を刮目させる選手を序盤からぶっこんでくるとあれば、ルチャドールたちも初日からノリノリでぶっ飛んだ試合を魅せた。2012〜13年頃にメキシコで活躍したナマハゲもMVP級の活躍。これぞ日本でしか観られないルチャだ。
今年、一味違うのはアンヘル・デ・オロ。2018年にマスクを失い素顔になったところ、中の人はトム・クルーズと見紛うばかりの美男子であった。入場マスクを脱ぐと、会場からはキャーと黄色い声援。何度も日本に来ているが、ここまで声援をもらうオロは初めてだし、自信に満ちて輝いている。やはり人間、顔なのか。
この日はなんと5試合目に、タイガーマスク、獣神サンダー・ライガー、カリスティコという日墨レジェンドタッグが、テンプラリオを加えたゲレーロスと対決というスペッシャルなカードが。
何を隠そう、最初に好きになったレスラーは獣神サンダー・ライガー。テレビ局に勤めていた頃、働いても働いても終わらず夜中になりもうダメだと思った時、チェックした素材で観たライガーは、希望が枯れ果てた私の心に滝のように感動の雨を降らせたのであった。
そして最初に好きになったルチャドールは初代ミスティコ(現カリスティコ)。第1回FANTASTICA MANIAでアベルノと対戦した初代ミスティコは、羽のようにふわりと空中を舞った。あんな美しいものは観たことがない。
もちろん記憶は美化される。だけどそれはむしろ喜ばしいことだ。プロレス観戦に限ったことでなく、大切な思い出がより大切になり、その瞬間を思い出すだけで生きていけるような力のある記憶に育っていくのは、人間の生存本能に近いものではないかと思う。
私はプロのライターなので、ライガーさんには幾度か取材をし、ライガーさんも遠くから私を見つけて「おお〜!明知さーん!」と、バラエティ番組でもお馴染みのあの調子で話しかけてくださる。
それでもやはり、夜中にVHSで獣神サンダー・ライガーの試合を観て泣いた瞬間は今も私を支えるし、観客として後楽園ホールに行っては「ライガー!!!」と叫ぶ。
今年、初めて観た人の心にも美しい思い出が残り、それが末永く育つように祈ってますよ。
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