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2014.9.21


CMLL aniversario

CMLLのお祭り アニベルサリオでの
レェヴェルの違うたたかい

2014年9月19日、現地時間の夜8時半、CMLL最大のイベント「アニベルサリオ」が開催された。
今年の目玉はなんといってもアトランティス対ウルティモ・ゲレーロのマスカラ・コントラ・マスカラ。敗けたらマスクを脱ぎ正体を明かさねばならない戦慄のマスク剥ぎマッチだ。

大声援の中、いつものゆったりした、しかし雄々しい”El Rey”で入場するアトランティス。対するゲレーロ、アステカ戦士の頭飾りを着けて迫力の入場。素晴らしく高揚する入場シーン、思い返せばマスク着用では最後となることを悟ってのことだろうか。

1本目は、おそらく肉体的には圧倒的に優るゲレーロがたたみかけるように先取。対するアトランティスは、禁断のプルポ・ゲレーロ(ゲレーロの必殺技)で2本目を取り、勝負の行方は3本目に。

ここからは一歩も譲らぬ攻防で、会場は熱狂の渦。
結果はご存知の通り、アトランティスが3度めのアトランティーダで勝利を収めたわけだが、その完成された美しい試合展開に、実況アナウンサーは終始絶叫。スペイン語のためまったく分からないが、ココロの古舘伊知郎にチャンネルを合わせ、もう二度とは見られないであろう熱闘に拳を握りしめた。

2度のアトランティーダを逃れ、ひとつずつ確認するかのように、自分の大技を繰り出すゲレーロ。それをひとつずつ、すべて返していくアトランティス。

タッグを組んで共に戦ったこともある、現代においては別格の存在感を放つふたりの戦いは、 すべてが印象的で、カットするシーンはひとつもない、まるで長回しの映画を観ているよう。
世界にこの空間しか存在していないかのような錯覚すら覚える求心力。

その力は地球の磁場にも影響を及ぼし、メキシコでは海の水位が上がり、河は逆流し、衛星の電波は乱れ、ケン・シムラのバケツの水はこぼれなかった。などという現象は報告されていないが、とにかく、アレナメヒコではおひねりがバンバン飛び、日本のパソコンの前ではルチャオタクたちが正座で泣いた。

戦い終えたゲレーロは、リングに倒れたまま、両の手のひらをぎゅっと組み合わせて震えていた。家族が涙で見守る中、偉大な戦士のひとつの区切りを、まばたきも忘れて見届けた。

ルチャはいつも激しく力強く、かつコミカルで、ちょっと哀しい。この試合にはそれが、それぞれ最上級で満載だった。
この瞬間は、人々の人生の局面で、ずっと力を与え続けるだろうと思わされる、そんな試合。
これを見た若い選手もいずれ、この感動を与える選手になるだろう。 人々の心に、そしてルチャの歴史に、輝かしい足跡を残したことは間違いない。

CMLL

日は変わって9月21日、ゲレーロが素顔で臨む初めての6人タッグ。
アトランティス、ボラドールJr.、バリエンテ対ゲレーロ、メフィスト、レイ・エスコルピオンと、これまた珠玉のカード。

ふとっちょバリエンテがスーパーボールのように弾み、ボラドールがイケメンミストを振りまく中、リング上に残されたのは、奇しくもアトランティスと素顔のゲレーロ!どうなる!?

組み合い、お互いをロープに振ったその直後。
ゲレーロは教科書にでも載りそうな美しいローブローで試合をキメた(反則負け)。

そしてガハハと笑うウルティモ・ゲレーロ。
やっぱり、デ・オートロ・ニベェェル(レェェヴェルが違うんだよ)!



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