行き当たりばったり宿泊

 旅の楽しみのひとつは宿。
 今回はバックパッカーの人たちみたいに「現地で決める」っていうのをやってみたかったので、日本で決めたのはLAとラスベガスのみの冒険旅行だった。
 アメリカのホテルは高く、1泊1万円以上はザラ。2週間以上の旅程だとこれはキツイ。ということで全力で安宿を探して彷徨ったのであった。
 安ホテル、キャンプ場ですらWi-Fi完備だった。アメリカ便利。

1・2日目「ハリウッドから2分のカウチ」@Los Angeles
探し方:Airbnb
1泊あたり:4328円

 巷で話題のアプリ「Airbnb(エアビーアンドビー)」で見つけた「民泊」。このアプリ、地域/予算を細かく検索できて便利。まずは予約申請メッセージを送り、承認されたら予約確定、その時点で宿泊代とAirbnbへの手数料10%が支払確定(クレジットカードのみ)となり、ホストとのお金のやり取りが一切ないのも魅力。
 アクセス良く拠点としてカンペキな「ソファ」に宿泊(笑)。アメニティもあってシャワーも快適。1・2階とも個室があり、ブラジル人カップル、中国人姉妹(メリル&シェール)、ホストの友人らが宿泊。メリルは中国で雑誌記者をしているとあってなんか盛り上がり、ノートパソコンを貸してくれたので無事に次の旅程の航空券を買えたのであった。

3日目「HOTEL EL REY」@Tijana, Mexico
探し方:ドラクエ方式(道で会った人に聞く)
1泊あたり:250ペソ(1500円)ぐらい。190ペソだった気もする

 陸路で国境を越えメキシコ・ティファナへ。観光案内所は混んでいたので、近場の警備員さんに尋ねると3か所も教えてくれた。制服の人が質問に慣れているのは日本と同じ。ただ英語は通じない。スペイン語できてよかった。
 少々物騒なエリアにある「王様」という名のホテルに入ると管理人がポカーンとしてた。後で聞くと「こんな美人がうちに泊まるハズない」と思ったそうですわよホホホ。シャンプーも石鹸もあるしお湯も出るし、恐れていた南京虫もおらず快適。しかしテレビがあったと思しき場所は線だけになっていた。
 ところで女性一人旅はナンパとの戦いでもある。Wi-Fiが繋がりやすいロビーでは「一人なの?」「君きれいだね」「キスしてみない?」という近距離パワー型オランダ人男性、「ビール買ってきたけど部屋どこ」という速攻型メキシコ人男性に声をかけられる。だが断る!

※4日目は朝まで遊んだので宿泊なし。

5日目「HOSTEL CAT」@Las Vegas
探し方:Hostel.com
1泊あたり:14.19ユーロ

 もっとも物騒だったのがこのホステル。重厚で厳重に施錠されたドアの呼び鈴を鳴らした瞬間、なぜかキャリーケースの取手がバキっと取れ、ショルダーのベルトがブチっとちぎれた(実話)。
 黒魔術でも行われていそうな真っ黒な内装、Wi-Fiパスワードは「ヘルキャット666」、受付の男性は麻薬売人風のゲイリー・オールドマン。(あとで「今日はホストデーだぜぇ。みんなに酒をおごるぜぇ」と呼びに来た。)
 迷路のような廊下を通り、受付で聞いたキーコードでドアロックを2カ所解除し、2段ベッドが8つのドミトリーに宿泊。シャワーは水のみ。同室の人とは積極的に会話しておいた。その方が荷物とか安全な気がして(笑)。多国籍な若者が朝まで酒盛りをしていた。

6日目「MONTEGO BAY」@Wendover
探し方:ドラクエ方式(アルパのマイクの知り合い)
1泊あたり:87ドル

 アルパのマイクの息子ケイシーがコルベットで連れていってくれた「カジノ&リゾート モンテゴ・ベイ」。1階はスロットマシンなどが並ぶカジノスペースになっていて、昔の映画に出てきそうな懐かしくどこか物悲しい雰囲気にしびれる。
 砂漠の強い日差しを避けて快適な空調の中へ。広いベッドに寝っ転がってマイクの庭に実っていた甘いブドウを食べながら旅日記をつけて幸せ。
 この日は休日料金で高いけど、平日なら60ドル程度だとか。プールも付いててこの快適さ、コスパ高いので超おすすめ。
 このあとおしゃれワンピに着替えてマイクの家で夕食をお呼ばれ。ケイシーがコルベットで迎えに来てくれた。もう一度言うけどコルベットで。ハハハ、コルベット最高だ。

7日目「DAYS INN」@Zaion
探し方:ドラクエ方式(ガススタで聞く)
1泊あたり:100ドル33セント。たっけえ!

 ザイオン国立公園あたりで探すもどこも満室のため、麓の街まで下山して、それでもどこも満室で、ようやく探し当てたモーテル。
 プールもアメニティも朝食も付いてるけど、この価格帯に止まり続けると破産は必至。明日からは本気出して安宿探訪を誓う。
 でもすごく景色がきれいなところで、受付でパスポートを出すと「日本人? じゃあ割引がありますよ」と謎の日本人割を適用された上、インド人風の支配人が超親切で、地図を出して次の宿泊のあたりをつけてくれたり(しかも他社)、近所のスーパーの場所から何から面倒をみてくれた。
 朝食のワッフルにバターとシロップをたっぷりのせ、コーヒーをごくごく飲んで癒やされる。お金を出すと安全なのも事実。

8日目「KOA フラッグスタッフ営業所」@Flagstaff
探し方:ドラクエ方式(コンビニで聞く)
1泊あたり:34ドル91セント

 この日からオートキャンプ場に宿泊。そして車中泊。夜は冷えるのですべての服を着て就寝。
 でもシャワーも洗濯室もWi-Fiもあって何の不自由もなく、しかも早朝から「ブレックファースト・カー」が営業。朝日の森のなかでの朝食はおいしいぞ。
 この「KOA」はアメリカ全土にチェーン展開しており、会員登録すれば10%オフ、しかも受付で別の営業所の予約も取れる。
 ただ、当然というべきか、アウトドアスキルには長けていても「パソコンは謎の箱」レベルなおじさん大集合のスタッフ陣。「パソコンできるのはあのガイだけだからちょっと待ってね〜」と待機。
 その間はパソコン苦手おじさんと他のお客さんと雑談。「君みたいな子にはサンタフェがおすすめだな」と話がまとまり、なし崩し的に次の目的地が決定した(しかし遠かった…!)

9日目「KOA サンタフェ営業所」@Santa Fe
探し方:ドラクエ方式(KOA窓口)
1泊あたり:30ドル64セント

 フラッグスタッフ営業所で予約してもらい、宿が決まっている安心感からか遠出した上、道に迷い、ナビもなく、尋ねる人もおらず、暗闇の中で左車線を逆走し、ようやく辿り着いた。
 到着したけど受付は17時で終了した模様…。でも遅く到着する人には資料一式(キャンプサイトの場所、Wi-Fiパスワード、近場のおすすめスポットなど)が用意してある場所を発見し、一安心。しかし暗闇のキャンプ場で自分のサイトを見つけるのは至難の業。懐中電灯を持っていてよかった!
 写真はフラッグスタッフ近くの”パワースポット”セドナと、サンタフェの教会。サンタフェは綺麗な街だしお買い物も楽しいしで最高でした。

10日目「KOA ラス・クルセス営業所」@Las Cruses
探し方:ドラクエ方式(KOA窓口)
1泊あたり:30ドルぐらい

 サンタフェから南下してエル・パソ近くの街へ。メキシコ国境も近く、街の雰囲気がまた変わる。
 このキャンプ場はプール付き。長時間運転したあとのプールは快適だった。
 近くのコンビニでホットドッグとビールを買い、夕暮れのベンチでゆったりしていたら、ウサギがピョコンと飛んで出て、可愛さに昏倒。翌朝、キャンプ場のおじさん(山本小鉄似)に喜々として報告する。
 「ウサギがいたよ!」
「何っ!? 何か動物が出ただと!?」
 「いや、あのかわいいやつだよ。ラビット」
「ラビット?何だか分からねえがおめえさんは大丈夫だったのか!?」
「大丈夫だよ、小さくて跳びはねるやつだよ」
「ああ、バニーか」
と、英語力の壁をよじ登ったのち、「この辺にゃあ危ない動物は出ねえよ。雨が降ればコブラが来るがな」とのことでした。ひえー

11〜13日目「ティミーの部屋」@Tuscon
探し方:Airbnb
1泊あたり:1889円

 旅の最終地に選んだのは、野生のサボテンを満喫するべく、砂漠の多いツーソン。
 スーパーマーケットのフリーWi-Fiでなんとか連絡を取り、ようやく会えた宿主ティミーは、ロン・パールマンも真っ青な大男。しかし「気は優しくて力持ち」タイプ? フリーの薬剤師(?)として自由に働き、ダブとかテクノ系のDJもしていて、「現代の人間は労働に縛られすぎているんだ。おおよそ人間の暮らしじゃないよ」と静かにだが熱く語ってくれた。
 とても親切な人で、行きたい場所の行き方も全部調べてくれ、食あたりでお腹痛いと言ったら薬を準備してくれた。さすが薬剤師。
 長めに滞在したので、近所を散歩したり、スーパーに行ったり、欲しかった漫画(パシフィック・リムのコミック!)を探したりと、ティミーとのおしゃべりも楽しくゆったり過ごした最終行程でした。

最終日は腹痛に脂汗を流しながら空港に泊まったけどね(笑)。

次回はドライブ旅行の話「シェリフにとめられる」予定!


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