アンダレー  2020.6.23

すてきな木村花

一ヵ月生き抜いたぜええー!ということで木村花選手の好きなところを思い出している。

技が好き。ドーンとビッグブーツ。バーンとドロップキック。彼女が使うクラシックな技はかっこよかった。強かったですね。負けても価値が下がらないすごい選手。

コスチュームが好き。セクシーでアトラクティブ。でも男に媚びる要素がなかった。「男より下っていうのはいやなんです。だから媚びるのはいや」と言っていた。あと「女子プロレスラーは宝石だと思ってほしい」というのはもう至言。歴史に残る名言だと思う。

あと、変な言い方だけど、堂々とスベるところがいちばん好きだった。

彼女の描く斬新な未来は、会場の旧来の観客に理解されず、ポカーンとされることもあった。スベるってこれね。でもあれは、これからファンになる予定の若い女の子、男の子に向けたメッセージだったんじゃないですかね。彼女がマイクで喋る時は「好きにやらせてもらう!」という意志がきらめくように見え、シビレましたね。子供かよ!みたいな感じと、かっこいい!って感じが同居してた。

プロレス界では”やられてもズダボロで立ち上がる”ヤンキー的な価値観が主流だけど、木村花はパンクだった(ヤンキーとパンクはまったく別物なんですよ!)

オラーと楽しそうに人の顔面を蹴るときは、余裕で世界征服しそうな気配があった。先輩レスラーを尊敬しつつも、価値観の部分では自分で考え取捨選択し、新しいものを生み出そうとしていた。あの「誰の言うことにも左右されないぜ」って感じも、パンクでかっこよかったですね。

でも初めて会った時の印象はまったく違う。礼儀正しくておとなしかった。

デビュー1年で試合は既に風格があったけど、「ハーフで目立つから実力以上を期待される」と言っていて、本当に懸命に練習していた。地味に黙々と。リングの上の華やかさがまるでなかった。自転車に乗る練習をする小さな子供のようだった。自分でテーピングをしようとしてたけど明らかに下手だった・笑! 自分でできるようにならなくちゃ、みたいに見えて、まだ新人なんだなと知った瞬間。

それからどんどんすごくなっていった。表現者としての躍進は目を見張るものがあった。

かっこよくて、可愛くて、美しくて、どこか子供っぽくて。私にとっての木村花はそんな素敵な選手。

基本的に取材者としてのつき合いでしたが、なんだか友だちの自覚もありました。知り合ってからの期間は長くないので、なんでかなと思ってたんですが。で、やめときゃいいのに、やり取りとか遡るわけですよ。絶対泣くぞ、やめとけよ。そういう声がどこかから聞こえても無視しますよね。で、やっぱりオイオイ泣くわけですけど。

私は夜中にインスタに聞いてる音楽を上げたりしてて、それに花ちゃんはいちいちスタンプか何かを送ってくれてて。まあちょっと聞いてる音楽がかぶってたので。で、一緒に歌ったりとか。これは説明が難しい。ひらがなでメッセージを送ったりとかで。「ぼくはーきーみがーほんきでーすきなーだーけー」(by銀杏BOYZ)とか。

子供か! われわれはそういう、はっきりいってくだらない友人関係でした。でも、立派な中年の私はともかくとして、花ちゃんのそういう無邪気さ、素敵じゃないですか。そういう楽しげなところ、彼女を好きな人にはそんな瞬間を覚えておいていただきたく。

これは銀杏BOYZの”BABY BABY”という曲で、たぶんフジロックの配信を観ながら会場のみなさんと合唱したときのやつです。

今はまだ泣いちゃうけども! いつか慣れる。泣くのは10回に1回ぐらいになるはず。私の中で花ちゃんはえいえんにーいきることでしょうー! えいえんにーきみのーためにー♪


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