2020.5.18

「男っぽい」の「男」って誰のこと?

ときどき「男っぽい」と言われる。バイク乗り回す系女子の私はそれが褒め言葉ということは承知してるんだ。こんな風貌ならしょうがないよ。

ただもう200回ぐらい言われるとね、もうちょっとないかなと思いますね。クリエイティブが。

それに、男が優位であることを前提とした「男っぽい」は今や男尊女卑ワードで、原稿ではもう使えない言葉だと位置づけている。無意識に男女差別を助長するこんな言葉は、若い子たちの世代ではだんだん廃れていくといいと思っている。

しかし今日はそんなジェンダーギャップを正す活動をしたいわけではなくてですね、何ならあと20年ぐらいは「男っぽい」を褒め言葉として受けとる準備はあるんですよ、私は現実的なんで。ただ、ふと気になったんですよ。その「男っぽい」の「男」が誰なのか。いったい誰をイメージして言われているのか。そこは確認しておきたいですね。並の男なら許さんという気概でもって。

その「男」がシュワルツェネッガーならば大いに歓迎。ボディビルのために厳しい鍛練を己に貸し、不屈の努力で肉体派俳優から演技派に成長を遂げ、政界にも果敢に挑戦、チャリティ活動にも余念がない。これこそ男の中の男、いや、男女という次元すら越えた超人類だ。彼なら内なる輝きで、たまの人の服を着てもかっこいいだろう。その「男」がシュワなら何の問題もない。もちろんスタローンでもだ。

カズオ・イシグロでもいい。豊かな人物描写で組み立てられた物語は人間愛に(時に批判に)満ち素晴らしい。女性をセックス要員として描くことの多い村上春樹とは一線を画している。そりゃノーベル賞も貰って当然だ。知性ってセクシーだし。

『イージー・ライダー』のビリー(デニス・ホッパー)でもいい。ヒゲが決まっている。私には彼のようなヒゲがないからハーレーは諦めたんだ。うそ、足が届かなかった。

有名人でなくても尊敬する「男」はたくさんいる。私は良き編集者に恵まれてきた。仕事への誇りと情熱、柔軟な思考とそれを支える思想的座標軸を持った方々は、素人同然だった私を導き、私の持ち味を考慮し、いい仕事をさせてくれた。恩は数え切れない。私が死んで幽霊になったら一人ずつ表敬訪問するつもりだ。その方々を「男っぽい」と言うのなら、最大級の褒め言葉としてありがたく頂戴する。

ここで憧れている「女」についても書きたいところだけどそれはまたの機会に。

ところでだ。「男っぽい」の「男」についてだけど。

単に性別が男ってだけの人、周りにたくさんいませんか? とくに何の魅力も取り柄もない人。ひどいこと言ってます? でもいるでしょ? もしそんな人も「男」に含まれていたとしたら…うわあー死にたい。お前を殺して俺も死ぬぞ。

いや、さすがにそれは問題外で含まれてないよね。私が手を汚す必要はないと信じてる。

問題は、クズだけどなぜだか男社会だとセーフになってるやつらだ。

例えば文春で話題のセクハラ編集者。かつてデキる男として称賛された彼です。それがね、彼でなくてもマスコミには一見デキる男風のセクハラ・パワハラおじさんが多数生息するんですよ。ご存知でしょ? もしそんなやつらが「男っぽい」に含まれているとしたら…平たく言って死にたい。ただし、この体に巻き付けたプラスチック爆弾で巻き添えだ。

あのセクハラ大臣もですよ。馳浩。あれは男としてOKなんですか? 初めて火を見た人類みたいに「セクハラ」という概念を眺めてましたけど。彼が「男っぽい」に含まれていたら…うわあー、これも死にたい案件。ただし死ぬ前にジャイアントスイングで残り少ない知性を吹き飛ばして…いや、腐っても彼は高名な政治家、私はSPに阻まれ彼の執務室まではたどり着けないだろう。もしたどり着けたとしても、元オリンピック代表だ。私は軽くひねられて無駄死にだ。しかしな、私の体には秘密の毒薬が仕掛けてあり心臓が止まったことを察知すると周囲に毒ガスをフフフ。

バイカーにもギリアウト判定の人はいますね、悲しいことに。ルイスレザーとやらは確かに一見、かっこいい。しかし着ただけで満足しちゃだめだとなぜわからないのか。そういう男も「男っぽい」に含まれていたら…ううっ。でも死ぬほどじゃない。もう少し頑張れと激励したいから体育館裏に連れてきて。あと鍛えるだけでかっこよくなれると勘違いしている男は『ロッキー』で大切なことを学びなおして。

ここまで書いてようやくひとごこちついた私は夕食の準備という任務にとりかかります。今日はハンバーグ。しかもいつも急いで作ってるやつじゃなくて、本気出して丁寧に作るつもり。

まずはレシピを検索する。
「ハンバーグ 本気」。
表示された検索結果は、出ましたよ「男のハンバーグ」。ですよね。ドッシリと肉厚で切れば肉汁がジュワッと溢れだすアレは男のハンバーグって名前でしたわねよね、奥さん。どんなシュワルツェネッガーが作ってるのかしら。

え、ちょっと待って。ここでの「男」ってこの人? チェックのシャツの優しい感じの? いや、彼はなかなかのいい男だけれども、ここで「男の」といえばもっとなんか、豪快なイメージの、熊っぽい感じじゃないの? チェックのシャツでいいんですか? 向かいのライブバーから無軌道なサックスが聴こえますが山伏でも来てるんですか? いや今はそんなことどうでもいい。

いや、わからないわー。「男っぽさ」の価値観ってまじでラビリンス魔王の迷宮。次に「男っぽい」って言われたら、それがどんな男なのか、ちゃんと確認しないと。ハンバーグはおいしかったけど。

あと冒頭の写真ですけど、元彼にもらったジーパン、元元彼にもらったシャツ、元元元彼にもらった指輪などを身に着けています。殺した相手の頭の皮を剥いで持ち歩いているように聞こえますが、素敵な時間を過ごした人との思い出を処分できるわけないじゃないですか。私の恋は上書き保存ではないことの証明です。きっとこういうところも「男っぽい」んじゃないかと思うんですけど、どうですかね?


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