毎週月曜新聞 悪のロゴ
2016.11.19


知ってるけど知らない人だった

バイクを駐輪場におさめた帰り道、なんだかしょんぼり歩いている男の子に声をかけられた。

「すみません」
はい。(あれ、顔に見覚えがある。知り合いだっけ?)
「中村橋…どこ?」
どこって(笑)。中村橋ってどこだっけ?
「練馬区」
練馬区!?そうだ池袋線だ。じゃあ電車で…
「ダメ。Only by walk」

あれ?外国人?よく見ると肌が黒めで、もっとよく見ると目鼻立ちもどう見ても外国人であった。携帯で地図を調べてあげると、勝手に私の携帯を持ち「イマココ?」「ナカムラバシドコ?」とグーグルマップを上下にスクロールさせる。そうこうするうちに充電が切れ、またしょぼーんと肩を落とす彼。

やっぱり顔に見覚えがある。それにしょんぼりしすぎ。分かりやすい道まで連れてってあげるから元気だして!

「ボク、ナニジンに見える?」
南米かな?
「カリフォルニアだよ。ちょっとスペイン」
じゃあスペイン語?ちょっと分かるよ。
「ホント?Hola〜」
コモエスター
「Oh, bien! Como estas? Como se llama?」
コモセジャマ?ああ名前か、マリコだよ。
「僕はジョンだよ!ウェーイ!Mucho gusto!」
ムーチョグストー…ってさり気なく手を繋ぐんじゃねーよ!
「ハハハ、ノーノー、ダイジョウブ」

何がダイジョウブなのか分からないが、道すがら、カリフォルニアから仕事(ダンサー&ラッパー)で来ていて、仕事がああで、友達がどうでと、英語とスペイン語と日本語でわーわー話しながら歩くうち、彼はどんどん元気になっていった。いいぞ、その調子だ。

分かりやすいところで道をもう一度説明し、気をつけてと送り出すと、
「グラシアス! マリコのことは忘れないよ! カリフォルニアに帰ってもマリコをオモイダス!」

と、先程とは打って変わって元気よく歩いて行った。心細い異国の方を勇気づけられてよかった。

そして今しがた、なぜ顔に見覚えがあるかが判明した。



著名サッカー選手にソックリだったのだ。そりゃ見覚えあるわーハハハ!


★TOPに戻る★