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9月19日、岩手県でついに迎えた決勝戦はカリスティコ対レボルシオン。試合開始前のにらみ合いの緊迫感は、明らかに別格の戦いの幕開けを物語っていた。
後楽園ホールから始まった4連戦、すべての試合で主役オーラを放っていたメキシコ代表・カリスティコ。サンバ・リオデジャネイロ(ブラジル代表)に付き合って踊るお茶目さも見せつつ、やはり要所要所で披露する技の美しさは秀逸。まるで5万の観衆と一緒に観ているような錯覚を覚えるほど、誰と対戦しても高クオリティ。各会場で、タッチした手からしばらくいい匂いが消えないという“神の子”らしい奇跡を起こしまくる。
対するレボルシオンはキューバ代表。ディック東郷推薦だという未知の選手で、鍛え上げられたボディは明らかに異人。しかしその流れるような関節技地獄といい、容赦ない冷徹な攻撃といい、新潟大会、宮城大会と観るにつれ “推薦”ではなく“ご本人”ではという思いが拡がる。
技の掛け合い、チョップの打ち合いと一進一退の攻防が繰り広げられ、唐突にじわわっと歪む視界…! あれっ、私、泣いてる? あまりに尊い戦いを目の当たりにし、感情のダムが決壊した模様。このあと本日2度めのスパニッシュ・フライを出したはずだが記憶にない。
レボルシオンのトップロープからのセントーンであわやという場面もあり、カリスティコへの愛で会場がひとつになった瞬間、炸裂したラ・ミスティカが緊迫の試合に終止符を打った。
宇田川さんも言う通り、マスクを被るとスイッチが“オン”になる選手。勝者となりマイクを持ったカリスティコは、インタビュー時の穏やかでキュートな語り口から180度変わった力の漲るカリスマボイスで話し始める。
「このレボルシオンというマスクマンに興味はない」
唐突な告白に当惑する観客。
「私を惹きつけるのはこの人だ。今夜、この生きる伝説とも言うべき人物と戦え、しかも勝利を得られたことは、私の誇りです。ディック東郷さん!」
そして「TOGO! TOGO!」と東郷コールを煽るカリスティコ。じわわっ。いかん、また泣いている。そして客席のあちこちから「お帰りなさい!」の声。じわわっ。
まさかの里帰り対決となった感動の決勝。「ここがふるさとだと思ってます」と(あの渋い声で)話すディック東郷。じわわわっ。
最後にカリスティコが再びマイクを渡され、
「グラシアス、メヒコ! グラシアス、ハポン! そして何よりグラシアス、ミチノクーーー!!」
そして流れる“みちのくプロレスのテーマ”!
もう矢巾総合体育館は、観客のみちのくプロレス愛でパンパンでした。じわわっ。
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