毎週月曜新聞 悪のロゴ
2016.6.15


おばけDAY

このところ真面目に仕事をしすぎた。くたびれてベランダで風に当たっていると、急に怖くなった。

たぶん屋根の上に何かいる。泥棒とか変質者ではなく、もっと怖いもの。人じゃないもの。

走って部屋に戻りカギをかける。

ことわっておくが霊感はない。幽霊も見たことはない。でも、いろんな物陰に何者かの存在を感じる時がある。それがおばけDAY。

生まれつき妄想の才能があるため、それが暴走すると起こる現象だと思われる。

隣にコンボイ司令官がいれば抱きついて守ってもらうところだが、残念ながらいない。しかし案ずるな。自分で対処する方法を編み出してある。

まずは恐怖の原因を突き止めること。いったい屋根の上の何が怖かったのか。

さっき屋根の上にいたのは、たぶんバイオハザードに出てくる皮膚が剥がれ筋組織剥き出し型の血塗れのあいつだ。しかし実際に姿は見なかったし、襲っても来なかったので、実態は不明。つまり本当は、とてもかわいいものかもしれない。ふわふわのファーでできた小さなモンスターの群れだったかも。

ほら、もう怖くない。

少し開けた窓の外にさっきいた(ような気がした)のは、犬神家の沼に沈んでいそうな青白い顔で眼孔は落ち窪み水っぽく太った毛髪のまばらな壮年の男性だったが、実際には見ていない。ということは、カモミール香る風に運ばれ眠りの砂をサラサラとふりかける小さなオバケだったかも。

そんなわけで我が家の冷蔵庫の裏、本棚の隙間、クローゼットの中などは今、ふわふわでかわいい鳴き声をあげるつぶらな瞳の愛らしいやつらでいっぱいです。


今、メールも何も来てないのに携帯がブルって震えたのはたぶん現実と夢の間に住むピンクと黄緑の水玉模様の…ドロドロに溶けた…燃える真紅の濁った目の…硫黄の腐臭の…


怖いからもう寝ます。


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