毎週月曜新聞 悪のロゴ
2016.5.2


最近観た映画で良かったもの(とつまらんかったもの)

小学生の頃、お父さんに近所にできたばかりのレンタルビデオ店に連れて行ってもらって以来、映画は大好き。最近なんだかまたせっせと見ているのでメモりまーす(暑苦しく)。

『クリード チャンプを継ぐ男』には
騙される価値がある

 過去の自分が怖い。過去の自分がそれなりに頑張って成した中途半端な成果が人生の絶頂だったらと思うと絶望のあまり全裸でアイススケートに出掛けて収監されそうだ。たとえばそういうタイプの人はこの映画を見ればいい。
 そうじゃなくてもあのロッキーだ。彼の魔法にならかかってもいいんじゃないか? ほら、騙されたと思って。

 ロッキーのライバルだった伝説のボクサー・アポロの息子アドニスがチャンピオンを目指してロッキーに弟子入り。そのアドニスは我流でボクシングをしていてメキシコではそれなりの戦績があるが、まあ取るに足らない程度。そして親の偉業に追いつけないことに怯えている。

 しかし魔法のようなチカラで乗り越える。時代遅れのロッキーの魔法で。「1打ずつ、1ラウンドずつだ」と、ほとんど騙されるようにして。

 頑なに何かを信じるのは騙されることに似ているし、騙されるにも勇気がいる。

 アドニスは人生をかけて自分を信じるので、見ている方もついのせられて信じ始める。一緒に騙されてやろうと勇気を出してしまう。

育てのママとは絶対に和解できる。
恋人とは絶対に赤い糸で結ばれている。
ロッキーは絶対に死なない。

 主人公を信じて映画を見ると、なんと安心感があるのだろう。そしてアドニスが今回はチャンピオンにならなかったところで、次は絶対になるだろうと信じてしまうのです。
 最後の拍手は死闘を繰り広げたふたりのボクサーへのものだが、ここまで登場人物を信じた自分自身へも向けられているのではと錯覚してしまう。それほどに没頭できる映画。

 とにかく、その魔法がかかった私は泣きながらシャドーボクシングの真似などしつつ、今の私だって過去を絶対に越えられるだろうという頑なな自己肯定感に包まれて、再生ボタンをもう一度押してしまうわけです。めでたしめでたし。

 『クリード』は闇雲に自分を信じる無鉄砲な力を与えてくれる魔法のような作品。こんな楽園のような映画こそ、今の世に必要なのではないでしょうか!!このさつばつのせかいにこそ(シャドーボクシングしながら)!!

 映像的に美しいシーンも多く音楽もいいので観てみて。ほら、騙されたと思って。

『Mr.ホームズ/名探偵最後の事件』

 かの有名な探偵ホームズの最後の事件を、おぼろげになった記憶を辿りながら描くミステリー。
 50代後半から93歳までのホームズを演じるイアン・マッケランの演技力にまずひれ伏す。
 「人としてのやさしさとは」「老いることとは」などテーマに真正面から向き合いつつ、最後ホームズがフィクションに手を染めるあたり「こうであればいいな」という思い、願いが込められている胸熱な良作。
 英国紳士という絶滅種を堪能できるし、養蜂…憧れる! 超オススメ。

『レヴェナント:蘇りし者』は
いったい何のために…

 いったい何のために蘇ったのかこの者は。「復讐は我が手になし!」とか言いつつそいつが死ぬのを(それも自分がやるよりずっと酷いやり方で)確信してただろうが。それなら自分で指を1本ずつ切り落とさんかー!つまらん!
 と私の中の大滝秀治が吐き捨てた。なんだか辻褄が合わない映画だったと感じるのは、”男の世界”の価値観に共感できなかったせいだろうか。無益な男の目的のために壮大なロケを…まったく、それならレスラー2などを観たいわよ。
 最後の「生きる!」って顔もまた鬱陶しい。もうバレてるでしょうがデカプリオの顔が生理的にキライです『ギルバート・グレイプ』の時から。つまり私のせい。
 あっ、でも馬の中で暖を取るとかのサバイバルシーンは楽しい。そこはイイ。

あとはいろいろおもしろかった今年の映画。たまっていた『ワンス・アポン・ア・タイム』シーズン3を一気に観た幸せなゴールデンウィーク。『ジョン・ウィック』だいすきもう一回観たい。『キングスマン』も。


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