2015.5.15
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軍資金5万円のひと
今日の仕事帰り、電車の中で取材のまとめをしていたら、耳に入ってきた会話。
「知ってる、軍資金5万円のひとでしょ?」
現場で仕事を終えたばかりの若い男性の二人連れ。後輩らしき男性にデートの予定があるらしい。
軍資金は5万円。19歳、うーん、いってても21歳ぐらいに見える彼にとって、なかなかの額。
「うまくいくといいね。祈ってますよ」
汚れた作業着だけど、どことなく上品な言葉遣いの先輩は、たぶん23歳ぐらいでたぶん既婚者。ゴツいビカビカの時計に、使い込んだ高級スマホケース。
「ぼくゲーマーなんすよ」
「おれも◯◯はやるよ」
「家でもやります?」
「いやいや、やんない。怒られちゃう」
二人で並んでスマホのゲームをしながら、少し他人行儀だけど手の合うキャッチボールをしてる感じの会話。
若者よ、いいのか、ゲームをしてて。いいのか、デートプランは。
どんな女性だろうか。少し年上? きっと綺麗なひとだろう。私のために5万円を用意してデートに臨んでくれた人は今までいたかな。いないだろうな。
彼にとって5万円はいかほどの価値があるのだろう。
2駅ぐらい乗って降りてった後輩の持ち物は、穴の開いたコンビニのビニール袋ひとつ。中にはでっかい弁当箱(2段重ねの保温タイプで味噌汁とか入れられるやつ)と、元は青だったらしきタオルのみ。
軍資金5万の価値がさらに跳ね上がるような手荷物に、もうレディ・ガガでも招聘する意気込みであることが伝わるよね。
デートうまくいくといいね。祈ってますよ。
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