毎週月曜新聞 悪のロゴ
2015.2.16


そんなことはどうでもいい問題

 先日、会議で久しぶりに会った女性に「わたし、明知さんの漢字をいつも間違えてメールしてますよね」と、すまなさそうに言われた。下に「日」が付かない「知」と分かっているのに、いつも迷って結局「明」にしてしまうのだという。

 その気持ち、分かる。分かっていても間違えてしまうシリーズはたくさん持っている。

 たとえば「疾病」が読めない。「しっぺい」だと知っているが、「しつびょう」かもしれないといつも迷う。重篤な病に対して「ぺい」という音の軽やかさは不似合いだ。どうしてもっと濁音を盛り込まなかったのか。

 エスカレーターとエレベーターの違いも即座には分からない。「エスカレーターにお乗りの際は…」というおなじみのアナウンスを脳内再生してからでないと、どちらが動く階段なのか、あるいは箱なのか分からない。
 太陽が昇る方角も、「その反対」と覚えている例の歌を歌わないと分からない。

 えーと、こんなどうでもいい思いを巡らせているときは、たいてい追い詰められている。

 原稿に取り掛かりたいのに、PTAやサッカー部の関係者からのメールが矢のように降り注ぐ。どちらも「長」を務めているので覚悟して、1通1分以内を心がけて返信しているが、いくつかの質問(3度めだが同内容)や伺いだて(悪意60%含有)にはこんな心境にもなる。



 でも今は話を「アケチ問題」に戻そう。
 私の苗字は本来ならば「明知」だが、多くのケースで「明智」とされ、実は出会う8割ぐらいの方は「明智」と表記して覚えておられるので、特に気にしていない。
 そりゃそうだ。アケチと言えば光秀か小五郎だ。変換キーを押して出るのは「明智」だし、明知はアケチ界のマイノリティーだ。いつか「明地」さんに出会ったらこの議題を語り合いたい。それか「斉」のバリエーションが多いサイトウさん、同じく「辺」の多いワタナベさんとは共有できるかもしれない。

 それにいちばん大事なのは、私は冒頭の女性のことを大好きだということ。その人にとって私がどのアケチだろうと、その人がいつもくれる好意と思いやりが込められたメールには、受け取るたびに元気づけられるのです。

 間違えられやすい名前の人は、慣れているので気にしていない、というのが持論。それよりも「サスガ!」「いつも素敵!」「かわいい!」などとおだてると気を良くし、お菓子を与えると良く働きます。目か心臓をくれればすごいこともできるかもしれないぞフフフ。

 神よこんなどうでもいいことに1時間を割いた私をおゆるしください。このあとすぐ仕事にかかりますから!

 じゃあまたらいシュー☆


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