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じゃあ、何が嫌い?
先日、初対面で母国語も違うのに、話が大いに盛り上がったことがあった。ひとしきり好きなものについて語り合った後、彼は言った。
「じゃあ、何が嫌い?」
好きなものについて語るのは簡単だ。だって好きだから。魅力はたくさん挙げられる。
しかし嫌いなものについて語るのは難しい。己の心の狭さをさらけ出すようでもある。ケンカになっても困るしと、気弱にもなる。
まったくオタクとしての気概を問われたような思いだった。
しかし嫌いなものについて語ることは、逆説的に、好きなものの説得力を増すかもしれない。嫌いなものを嫌いと言える…それが本当のオタクではないだろうかっ
ということで、やってみよう。
「顔面ウォッシュ」
コーナーに追い詰められた相手に走って行って顔面を蹴りつけるあの禁断の技だ。
なぜ嫌いかというと、想像力がない。耐えても美しくないので受けるだけ損。顔を蹴られるなんて怒って当然の仕打ちなのに、なぜ怒らない。怒れない?怒れないほどダメージ?でもクリーンヒットはしてないでしょ?何?なんなの?痛いの痛くないの?どっちなの?
とにかく不愉快。お互いの輝きを消してしまう技じゃないだろうか。
まったく関係ないけどドラゴンスクリューだけは受けたくない。レスラー生命にかかわるよ。あっ私レスラーじゃなかったわ。
「待たせる男」
私は待つのが嫌いだ。よって待たせる男が嫌いだ。さんざん待ったのになんだこの薄さは!というのが『ジョジョリオン』(5巻)。こんなに薄いジョジョなんて大っ嫌い!
愛ゆえに憎しみは生まれることを身をもって知った。
「いっかげん(一家言)」
うっとうしい。
「ワリカン(男子との)」
女性としての価値のなさを思い知らされるようでつらい。ウソでもいいからおごってくれ。そんなにつまんなかった?
ちなみに、冒頭の質問には、「ブ…ブラー(blur)!」と答えた。デーモン・アルバーンのあのバンドだ。イケメンが余力を残しているのを見ると、世界を狙えるのにお前はなぜ狙わない…その顔の美しさ持て余すなら私に分けろよ!と変化球の苛立ちがつのる。
実は「別に好きじゃない」程度だけど、ロック好きなら好きでなければならぬ風潮が、嫌。そのなにがしかの強要が上乗せされて「嫌い」にランクイン。同様にストーン・ローゼズもね☆
と、嫌いなものを列挙してみたけどなかなか楽しいね。でも好きなものの方が楽しいね。
最後に好きなものを一つ挙げておしまいにしよう。
「エウフォリアの(ただの)チョップ」
エウフォリアというのは、体のでかい悪役レスラー。彼のチョップは相手を叩く時、体を開くように反対の手で大きく反動を付ける。その様子がどことなく「へんなおっじさん♪」を思わせる。連発しようものなら大変だ。変なおっじさんが止まらない。
彼は油断っぷりが光るレスラーでもあり、正義のレスラーがモタモタとコーナーに登っていくあいだ、「うううダメージが」的小芝居をやってのけ、わざと反対側を探したりする。「後ろ!後ろ!」と声を掛けたくなるのは私だけではないはずだ。
彼にケン・シムラのモノマネをしてもらえるなら、そうだな、脱ぎたてのパンティーを差し上げたいぐらいだ。ウチには他に金目のものはありません。
以上です。
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