毎週月曜新聞 悪のロゴ
2012年2月20日の月曜日を
お知らせします

先週のわたくしはと申しますと、「フラれた」「太った」「面接の結果連絡が来ない」と、ヘレンケラーとも肩を並べそうな困難と対峙しているわけであります。

しかし、フラれたからと言って愛情が消えるわけでもなく、太ったからと言って長所がなくなったわけでなく、面接の結果いかんによって実力に変動があるわけでもないのであります。

つうわけで今週も、同じ調子で生きていく、や、生きていかざるを得ない!

まずは一曲、踊ってから考えようっと。

『ドラゴン・タトゥーの女』

ドラゴン・タトゥーの女

 この世のすべてのカッコイイものを、かわいそうな女の子の中に詰め込んであった。
 壮絶すぎる生い立ちを持つ主人公リスベット。 彼女の能力は彼女自身の「不幸」という土台の上に成り立っており、もし幸せになったら失われるんだろうな…。
 詳しいことは公式サイトでご覧ください☆

 面白すぎたので速攻で原作に手を出したが、200ページ読んだ現在、いまだに乗りきれずにダラダラとページをめくっている。全世界で5000万部を売り上げたというが。なぜだ。

 なぜならばハマったのは、ストーリーじゃない。この映画の擁する美意識だ。それもひと昔前の。
 かつてはかっこ良いとされていたものたちのオールスター大感謝祭だ。

 北の国の美しい風景の中、美しい男女が美しく暮らしているさまが、美しい映像で延々と描かれるのだ。

 あんな風に水辺のコテージで調べ物をして暮らしたい。
 黒いバイクで、全身黒ずくめで爆走したい。
 窓辺に腰掛けてチェスをしたい。
 タトゥーを堂々と見せびらかして仕事したい。
 かっこ良くタバコを吸いたい。
 いちいちコーヒーを飲みたい。
 スコッチの瓶を逆さまになるほど傾けてデカいコップに注ぎ、ごくごく飲みたい。

 この映画、時代に葬られそうな格好良さの宝庫だね。
 ただし、「女性にはウソをついてナンボ」という時代はとっくに終了している。そういう意味でミカエルはオトコとしてダメだ。助けんでいい。

 さて、映画に触発されて物欲が暴走中だ。

 うららかな日差しの中、リスベットが元後見人とチェスをするシーン。
 う、美しい…!

 ボードゲームが持つ情緒を我が身にも帯びたく、ボードゲーム屋に行くも、売ってない。高円寺にチェス文化はないようだ。

 それに将棋は弱い。
 昔ホームステイした際、アメリカの青少年に日本文化を伝導するべく将棋を持参。ルールや駒の進め方を紙に書いて説明し、さてまずはやってみようね→そのまま敗北した私だ。
 むろん飛車・角とも使用の上だ。向いているとは思えない。

 よく考えてみるとうちには窓辺の素敵なコーナーとかないんだよ。畳だし。
 つうわけでコレだ。
おばけ屋敷ゲーム
 忘れられた名作、おばけ屋敷ゲーム。
 意外と難易度が高く、一度始めたらなかなかゴールできない恐怖のゲームだ。5時間ぐらいかかるょ☆

 外は吹雪、知的なふたりはベッドで、デスクで、キッチンで、いちいちコーヒーを淹れては、でかいマグカップで飲む。
 か、カッコいい…!

 うちのマグカップはといえばこれだ。

オバマグ オバマグだよ。いや、コレはコレでカワイイし、いただきもので気に入って使ってたんだが、難点は知性が感じられないことだ。
 ごめんポコちゃんこのマグカップ封印!
 北欧と言えばホーローということで、急いでホーローマグを買ってきた。
 熱いな。熱くて素手では持てんな。いやそこはガマンか。 よしこれで難しい本を読めば知的で素敵なサムワンに変身だ。
ホーロー
ふふふどうだ。

 まあ、ツッコミは無用なんだけど。

 観たあと同行者をコーヒーに誘ったら「ちょ、タバコ一本吸ってからでイイ?」
 確かに誰もがカッコ良く煙草を吸う映画だった。男女がセックスの後に吸うタバコは美しい。あとスコッチ。
 体に悪いものはたいていかっこいいのだ。

 あのイカすバイクはホンダCB350ドリーム(1960年代)のカスタム車らしい。主演のルーニー・マーラのサイトにいくつか画像アリ。ツヤ消し黒のフルフェイスで、シールドをカシャッと下ろして爆走ですよ。

 フルフェイスはビンテージメットのお店ヘルマートで購入するとして。

↓コレ私のバイクなんだけど、
エンフィールド
セパハンにして、タンク替えて、アップマフラーにして、シートとリアフェンダー替えればソックリにできるんじゃない?あと痩せれば。


 美しき物欲を衣笠の空振りさながらに振り回したのち、ふと、リスベットはレインマンと同じ病気ではないか、と思い当たり、泣く。
 そのあと、年上の友だちの自閉症の息子を思い出して、また泣く。すぐ脱走するから、車で追跡したのち、私が降りて全力で走るのだ。彼は俊足だった。
 さらに、友だちの小さなお嬢さんを思い出して、泣く。虫歯の治療をするのでも、全身麻酔が必要なんだ。

 しばし涙腺を崩壊させたのち、己の悪趣味を恥じ、泣きやむ。
 自分に直接関係のない問題について泣くなんて、失礼だし悪趣味きわまりない。
 彼女らの気丈な明るさに感動し、ただ、尊敬しちゃうわあーと思ってるだけでいいんだ。

 といった調子で、情緒不安定なビッグ・ウェンズデーを今、乗り切った。

 フラれると、こうなる。くっ…思い出した。
 もう!今週は全力で行こ!
 それでは、またらいシュー!!!

 お察しの通り、完全にカラ元気だ。


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