毎週月曜新聞 悪のロゴ
2012年1月16日の月曜日を
お知らせします

20代、いろんなことが屁でもなかった。特に自然環境。寒かろうが暑かろうがバイクで何キロも走ったものだ。 30代の今、どうなのか。バイクでの寒中長距離、大丈夫なのか。確認したくて旅に出た。

結論から言おう。ぜんぜん大丈夫だ。なってみて分かることだが20代も30代も大差はない。むしろ我慢強くなっているほどだ。

しかし忘れていた大切な何かを思い出した。直感を信じることだ。
なぜならば、「ぞうきんを1枚持ってくべき」という直感を無視したら、ぞうきんが必要な局面ばかりだったからだ。ぞうきんがなければ当然、服で代用する。着替えを持って行かなかったためガソリンとオイルの匂いを撒き散らして年末年始を過ごすこととなった。
平たく言えば、最悪だ。付け加えるなら、迷惑だ。
くっ…ぞうきんさえあれば。

みんな、これだけは忘れないでくれ。
ぞうきんは大切だ。
いやチガウ直感の話だった。



12/28 有明港→徳島港(約18時間)

まりっぺ号 フェリーはトラックの運ちゃん御用達オーシャン東九フェリー
19:30に有明を出港し、翌日の13:30に徳島に着く。そのまま乗ってれば新門司。

フェリーはいいぞ。
何がいいって時間がいっぱいかかるのがいい。
その間、何もしなくていいんだ。
電波も繋がらないし。

←私の愛機"まりっぺ号"は排気量500cc、1996年式のロイヤル・エンフィールドというインドのバイクでございます。故郷、広島への船出を控え、武者震い、ネジというネジが緩んでいくところでございます。うえさまーっ早く増し締めを!

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』半分読む。

深夜、雑魚寝スペースの自分のスペース(幅は約50cm)に戻ると、何者かに毛布を奪われていた。そのまま寝ているとまたしても何者かが毛布をかけてくれた。ぐっすり眠る。

ゲームコーナー←時代が止まったかのような魅惑のアミューズメントスペースをはじめ、船内の設備は最高だ。ヴィンテージな意味で。


12/29 徳島港→広島(約250km)

あーたーらしーーいーあーさがきた!晴れた海上きもちいい!
朝ごはんはカップヌードル。フェリーでの食事は基本的に自動販売機。全食カップヌードルが可能なヌードル天国。コドモには許されない、オトナの特権だ。

昼過ぎ、フェリーを降りてしばし迷子。あいにく方向感覚は持ち合わせていない。しかし、あいぽんの助けを借り、鳴門インターから高松自動車道へ。昔なら高速代をケチって下道で行ったところだが、もうオトナだ。カネならある!!
瀬戸大橋を渡り、与島PAで休憩。途中で雨が降り、泣こうか歌おうか迷って、歌った。
寒さでタテヨコに大きく震えながら、岡山の風雲児ミスター・キタガワに電話をかける。

瀬戸大橋倉敷で待ち合わせ。
カッコいいバイクに乗っていたハズの彼は、軽やかに軽トラで登場。
友人たちの近況報告をするつもりが、「人生で恥ずかしかった瞬間」対決が始まる。恥をかいたらかいただけエラいと信じてきた我々だ。 渾身のチカラで張り合う。
が、彼にはかなわん。「クリーニングオフじゃあーっ」とマルチの事務所に殴りこむ男だ。天然こそチカラなり。

勝負に負け、とぼとぼと帰路。残り約180kmを2時間半で。
山陽自動車道の灯りの少なさにビビる。まりっぺ号の貧弱なヘッドライトではまったく見えん。徐行!高速なのに徐行!
笑えるほどの寒さの中、鼻垂らして実家へ。

バイクいまのとこ、快調。

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12/30-1/2 実家と本家を行ったり来たり

師走に女子の自由時間はゼロ。イナカの掟だ。
まずは餅作りマシンにトランスフォームして大量の餅を丸める。
つぎに昆布巻きマシンに変身し、昆布真樹夫さん、真紀子さん、牧彦さん一族を作る。
掃除もして、正月の準備に奔走。
実家って忙しい。
よもぎもち 昆布巻き 熱燗マシン
上の右端の画像「熱燗マシン」をご存知だろうか。コンセントを挿し込むだけでお手軽に好みの温度の熱燗を作れるという奇跡のマシンだ。これで日本酒を温めてごくごく飲むのが広島流だ。もしかしたらうちだけかもしれないが。

バイクで行くと必ずそわそわするのが祖父。
昔、HONDAのドリームを乗り回していたという祖父だ。ライダーの血が騒ぐようで、バイクにまつわる昔話を聞かせてくれる。意外とね、何回聞いても楽しいんだコレが。
ちなみに祖父は90歳だがパソコン使いで、エクセルの表計算で稲作の損益計算をしているコンピューターおじいちゃんだ。
あと、訪問販売が来た時だけ、耳が不自由なフリをするらしい。

1/2 広島-岩国(往復約200km)

山口滞在中のミスター・タニグチと錦帯橋で接触。いちご同盟を結成。
錦帯橋
帰路、エンジン不調。圧縮がない。
しかし案ずるな。踏んでいれば必ずかかるのがエンフィールドだ。キックを踏み続け、気温5度にもかかわらず、汗だく。
フォースのチカラ、つまり根性でエンジンをかけ、休憩なしで極寒の高速を疾走。しかし料金所でふたたび、無念のエンスト。
高速走行のあとは、かからなくなることがある。そんな時は、放置。すると不思議と、かかる。このバイクには解明されていない謎がまだまだ多いのだ。
ただ、珍しいバイクなので、ギャラリーが発生するのが難点だ。休憩を装いコーヒーなど飲みながら、クールに放置するのが理想だ。
難儀していると長身の美男子がやってきて「代わりましょう」とキックを踏んでくれた。一瞬で好きになる。問題は20歳ぐらい年下だということだ。出会いって、残酷ね☆

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1/3-4 家族と温泉旅行

父の愛車が、クラウンに変わった。20年前からしていた「クラウン貯金」がついに火を噴いたのだ。
お察しの通り、貯めるのに20年もかかるワケはない。少し貯まると使うヤカラがいるのだ(母)。

ブラバン甲子園車は変われど、BGMは相変わらずコレだ。
『ブラバン甲子園』。甲子園の応援歌が延々と流れ続けるアドレナリン満タンの一枚だ。
少なくとも4年前からコレを聴き続けている父だ。いつだって父のハートには「こわれそうーなーもーのばかーりー」とか「ウララーウララー」とか「ざーんーこーくーなてんしーのテーゼ」が満ちているのだ。一般の方はマネしないでいただきたい。父は、常人離れした甲子園体質だ。

温泉で贅沢な夕食を食べ、大衆演劇を前のめりに鑑賞し、湯あたりしてこの日は終了。

翌朝、極寒。雪。風。
しかし両親たっての希望で、吹雪の中、遭難気味に山歩き。

1/4 電車移動

バイク不調につき、電車で出かけることにする。
駅までは遠い。父の送迎を期待し、わざと大げさに出かける準備。

しかし父、動かず。それもそのはず、中高年のアイドルきみまろの新DVDを観ているのだ。てこでもうごかない。きみまろが、そんなにいいのか。
仕方なく、駅まで走る。

駅まであと2分の地点で、父の車が追いかけてきた。窓が開く。
「間に合いそうじゃのう」
それだけ言うと、父は走り去った。

この日は、同郷のキックボクシングの先輩ミスター・マツシゲと、長話。
泣くほど感動。

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1/5 先生!緊急しゅじゅ…!

タペットカバーさて、まずはエンジンをかけなければどうにもならん。

11ミリと13ミリのスパナを用意し、朝イチで、王子様に電話。
王子様とは、いつだって私のバイクを直してくれるWINGFOOTのチーフメカニック、ハギワラ王子様のことです。

電話口で指示を仰ぎながらタペットカバーを開け、ナットを回す。もちろんフォースのチカラも使う。
圧縮、戻る。
私の中の審議会が「ハギワラ王子様、一生ついて行きます」満場一致で、可決。

雪ちなみに、積雪。

高校以来ずっと友人であるところのミスター・ナガオ&美しき妻ゆんゆんに会う。
彼らのかみ合わない精神論を見ていて、幸せとはこういうものではないだろうかと思った。私はいつも、これをひとりで虚空に投げている。

夜、ミスター・マツシゲとキックボクシングのジムに行く。かっこいいタイ人にミットを持ってもらい、やる気出しすぎて手足がプルプル大爆笑。

1/6 広島→徳島港(約250km)

夜明け朝4時起床、5時出発。
帰りは陸路で東京を目指したかったが愛機の体調を考えるとフェリーが賢明だろう。
気温はマイナス。寒いと言うより痛くて、30分以上続けては走れない。
顔が凍えてまばたきさえままならないため、右目と左目を交互に使用する。冬はシールドが必要なことを、身を持って知る。嗚呼、念願の朝日だ…太陽!早く!

寒いからとは言え、休憩しすぎだ、このままではフェリーに間に合わない。トランスフォーム!
そして私は蒼き彗星となった。メーターおっとスピードについてこれなかったか、メーターの針が折れる。

何度かエンストしながら、港に向かうも、迷子。 フェリーの搭乗確認の電話がかかってきたので、全力で「無知で無力で善良な異邦人」を演じる。
フォースのチカラを借りてエンジンをかけ、出港予定時刻11:30なのに11:30ピッタリに到着。ドウモトゥイマテン!

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1/6-7 徳島港→有明港(約18時間)

展望浴場
まりっぺ号は振動でウインカー折れ。メーター停止。エンジンから微かに異音。
乗り手の私はキックの踏み過ぎにより右足が鉛のようだ。
満身創痍と言ってもらってかまわんよ。

とりあえず、風呂!(フェリーの風呂は最高!)

まりっぺ号翌朝5時、有明港に到着。
降り立つ際にはもうエンジンがかからず、よろよろ下船。かっこいい乗組員のお兄さんが押してくれたので、また好きになる。年下だが10歳ぐらいだからもしかしたらいけるかもしれない。いや、無理だ。その前にエンジンかけないと。

夜明け前の港で難儀する自分に酔いつつ作業。東京まで戻ってきたんだからもう大丈夫。私が連れて帰ってやるからな!…いや逆だ。どうかうちまで連れて帰ってください!
さあ行こう相棒よ!朝焼けのレインボーブリッジが待っている!

そして1時間後…祈りが通じてか、フォースに守られてか、我々はいつもの駐車場に帰ってきた。安堵のあまりその場で泣き崩れたよ。もちろんウソだよ。
あー楽しかった!

ちなみにこれを書いている今は、まりっぺ号は入院中。よって私の精神状態も悪化の一途をたどっているところだ。バイクがないとたちどころに具合悪くなるのよははは!頑張れ私!

それではまたらいシュー☆


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