SF小説作家でもあるゲイマン。暗く艶っぽいキャラクター描写は、闇の中から削り出した彫刻のよう。動き出すのを待って、観察して、書き起こすのかな。類まれなるその世界が読める邦訳最新版↓
『墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活』
墓場に迷い込み、幽霊たちに保護された赤ん坊(←一家惨殺事件の生き残り)。 ノーバディと名付けられた赤ちゃんは、墓石でアルファベットを覚え、怪我をしたらドクター(1936年没)の元へ…と、意外とどうにか成長して行く。そして謎の殺し屋ジャックの魔の手が…な〜ぜ〜
さまざまな時代に生きた、そしてとっくに死んだ幽霊たちの言動がオカシイ☆
両親となったミスター&ミセス・オーエンズ(おそらく19世紀没)の古風な子育て、ダンディな後見人サイラス(幽霊じゃないが生者でもない)の謎の過去、墓場の良識カイウス・ポンペイウス(紀元前没)の天然発言。ちなみに私の一番のお気に入りは歴史学者ミス・ルペスク(神の猟犬)です。ガオガオ。
主人公ノーバディを見つめる"観察者"然としたその視点は、『コララインとボタンの魔女』にも通じる。
そこにあるのは、子供への絶対的な信頼。
ノーバディの冷静さと対応力、コララインの行動力と勇気。彼らはふたりとも、自分で問題を解決するチカラを持っている。オトナに教えられるのは切符の買い方ぐらいだと襟を正さざるを得ない。
かつて子供だった頃、体中に満ち溢れていた魔法のチカラを思い出すようだ。この2冊、「勇気の大切さ」のみならず「勇気の使い方」までを教えてくれる実用書、と言っても言い過ぎではないハズ☆
映画化もされてます。 (去年観たときの感想)
『コララインとボタンの魔女』 ほかにも映像化作品は多い。 '96にBBCで制作されたTV番組(全6話)と、そのノベライズ。↓
『ネバーウェア』

ロンドンを舞台に、2つの世界が重なりあう。住人も時間軸も空間も違う「上のロンドン」と「下のロンドン」。追われてきた謎の少女"ドア"を助けた普通の会社員リチャードは、そこから下のロンドンに迷い込んでしまい…。二人組の殺し屋、クループ氏とヴァンデマール氏の恐ろしさときたら…!
でもゲイマンのいいところは、残酷描写をしすぎないところ。頭の中ではおっそろしい怪獣が、何かを生きたままちょっとずつかじったりしているのだろうが、あえて書かないでいてくれるから、助かる。そのへんは詳細に言っていただかなくてもだいたい分かりますからけっこうです(拷問映像とかちょう苦手)!
TVのオープニング映像はデイブ・マッキーンが担当。彼はサンドマンのカバーや、同じくゲイマン脚本の映画『ミラーマスク』のビジュアルも手がけており、ゲイマン作品との相性は最高☆
音楽はまさかのブライアン・イーノ。イーノでいーの? …ごめんこれ言うのライフワークなんだ。
『スターダスト』(映画化された原作)もだが、ゲイマンのファンタジーは日常生活からの距離的が近い。 「壁一つ隔てて」とか、「ドアを開けると」とか、見える世界と重なるようにして存在する別の世界。
あと、"ドア"という少女、"ウォール"という街など、日常目にする物の名前に魔力を持たせる手腕はスゴイ☆
以前『魔法使いの弟子』を観たときは、その究極のチカラわざの「めでたしめでたし」に、ディズニーの底力を感じたが、映画はそれと張るぐらいハッピーエンド。
「力業」とはある種の奇跡。それが起こるためには、全員がココロを一つにして望まなければならないのだ。
ニコラス・ケイジが無理やり生き返っても文句は言わない。だって何千年も恋人と離れてたハゲには、みんな幸せになって欲しいよね!
その点において、デ・ニーロはじめ愛されるキャラ作りは圧巻。孤独を知る人々の「孤独」の描き方が絶妙で、シアワセになって欲しいと思わずにはいられない。
あと、『キック・アス』や『トランスポーター2』で見事なやられっぷりを魅せるジェイソン・フレミングが、ここでも見事な死にっぷり☆
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さまざまな神話をモチーフとした作品も魅力的。
『アナンシの血脈』<上・下>

"実は神の子"だけどサエないファット・チャーリー・ナンシー。ある日、生き別れた兄弟だというスパイダーが現れ、平穏だった日常が…!
ミセス・ヒグラー、ミセス・ブスタモンティ、ミセス・ノールズ、ミセス・ダンウィディーという元気な老婆(魔女)が大活躍。
『グッド・オーメンズ』<上・下>

悪魔はイカしたクルマに乗り、天使は古本を売っている。ふたりは人間界で意外と仲良く、運命の日を待っているのであった。テリー・プラチェットと共著。
『アメリカン・ゴッズ』<上・下>

神話モチーフシリーズでいちばんおそろしく、濃厚。何度読んでも理不尽さにため息が出る。
『壊れやすいもの』

様々な色合いの短篇集。『アメリカン・ゴッズ』の後日談も収録してあるから必読だ☆
『ベオウルフ/呪われし勇者』
ロバート・ゼメキス監督。6世紀のデンマークが舞台の叙事詩を原作とした映画で、脚本を担当。
"呪われし"人の話はたいていオモロイ。呪われるからには、その呪いに耐えうる強靭な肉体または精神が必要だからだ(小物には「マジックのフタが見つからなくなる」程度の呪いで十分)。ベオウルフ、強いぞかっちょいいぞ。
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