2011年11月28日号

速ければ速いほど偉いという時代に生まれたわたくしめといたしましては、国本武春さんを信奉せずにはいられない。

2軍に救われる

 公道で最も危険な存在が“高級車に乗る中高年の女性”であることに、異議を唱える者はいないだろう。
 彼女らは危険だ。危険過ぎる。ただ歩いているだけでも恐ろしいのだ。クルマを与えてみろ、ナントカにナントカだ(恐ろしすぎて口にすることもできない)。デンジャラスクイーンだ。

 先日、対向車線から無理な右折をしようしている奴に出会った。運転席を見ると案の定そうだ。出たな、デンジャラスクイーン。即座に半径20メートルに女王の勅令だ。

「右折優先」

 そこでムサシは慌てず騒がずだ。後方を確認した上でスピードを緩め、先に行かせることとしよう。

 しかしその日会ったデンジャラスクイーンは一味違った。無理な右折をしようとしている自分に気づいてしまったのだ。
 そして迷った。行こうか戻ろうか迷った。そして思考が停止した。それとともに彼女のクルマも停止した。無理な右折をやめたのはイイが、停止した場所が悪かったな。そこは対向車線の真ん中だ。
 つまり、走行する私の目の前に、横付けのクルマが現れたのだ。その向こうで警官隊が銃を構え「ロス市警だ!」「フリーズ!」言ってる。いや、幻覚だ。

 さて、ドースル?
 前方を抜けるか?…イカン、彼女なら迷った挙句、もう一度進むかも知れない。
 では後方か?…イヤ、私のテクでこの距離からでは曲がり切れない。
 やはり、マシンを止めるほかない…。止まれるのか?この距離で?このスピードで?

 ここで、紛れも無い事実が頭をよぎった。あろうことか、その日のパンツは「2軍」であった。

 説明しよう。パンツには3種類ある。「勝負」「スタメン」「2軍」だ。
 「勝負」に説明はいらないだろう。おもに「強くてカッコいい先輩」と会うときに着用される、恐れを知らないの無敵のアイツだ。カープで言うとマエケン。
 「スタメン」はどんな局面でも着用される、さまざまな個性あふれるレギュラー陣。いつだってホームラン、打ってくれてもイイんだぜ?
 「2軍」は重労働が予想されるとき、スタメンがすべて洗濯機にいるときなどに着用。
 かつて「勝負」だったこともある。その後、過去の栄光にまみれながらも「スタメン」を張った。そして最後の人生を2軍で送っているのだ。一言で言うと、満身創痍である。

 傷だらけの天使=2軍のパンツで事故るのだけは避けたい。でないと、服を脱がせた救急隊員は私の2軍パンツを見て、憐憫のため息をつくだろう。救急病棟のセクシーなナース達は嘲笑するだろう。
 イケメンのドクター(江口洋介)が私に入院をススメつつ、ほほ笑みを浮かべてこう言うのが聞こえる…

「まずはおうちに帰って、新しい下着を取ってきたほうがイイな(ニコッ)」

 だ、断じて2軍パンツを履いていることを知られてはならん!! クワッ(←私の中の拉麺男が目覚めた音)

 渾身のチカラでリアブレーキを踏む。止まらねえ。
 情熱を込めてフロントブレーキを握る。ダメだ止まれねえ。
 こうなったら最終兵器だ。ゆっくりと足をステップから地面に降ろす。必殺の足ブレーキだ。ああ、お気に入りのブーツの底が減っていく…

 かくしてクルマの10cm手前でマシンは停止した。すべての毛穴から地獄の汁が吹き出す。終わった…終わったんだ!
 聞こえる、私を称える5万の観衆が!(実際に騒いでたのはひなたぼっこの浮浪者5人)

 ここまで2秒。

 デンジャラスクイーンは「あらあら」という表情を見せた後、赤になった信号をゆうゆうと右折して行った。

 20代マデなら追いかけるところだが、ノストラダムスを生き延びてしまった私だ。中高年は目と鼻の先、いずれ我が身。
 未来への貯金だ。不問に処す。


『Animal+』
〜アーティストが心に描く動物

2011年11月30日(水)〜12月6日(火)
10:00〜20:00(最終日は16:00まで)
銀座三越 8Fギャラリー

 炎の木彫作家、丸山達也の合同展覧会が開催される。
 …ゴメン"炎の"は余計だ。

 仏像を彫る技法でさまざまなミュータントを木から彫り出す彼の作品は、ミーハー心が芸術の高みからブランコで行ったり来たりしているような絶妙な面白さ。
 モチーフに対する情熱の眼差しは、細部まで作りこまれた造形に現れまくりだ。

 その技術の高さもさることながら、彼の作品の魅力は、なんかこうフワっとした、ホワッと湧きでる、なんとも言えないものにある。

 なんとか言おうか?

 高い技術力で、生きとし生けるものの生命力そのものを具現化し、彼らのもつ躍動感を静物に閉じ込めることに成功しているのだ。その彫刻を間近で見れば分かるだろう。もとはただの木だったモノからにじみ出る、みなぎる生命力。

 最近、師匠である籔内佐斗司氏のもとより独立したばかりの彼はガンガンに燃えていることを考えると、その生命のパワーはちょっとしたものだろう。
 あと彼はちょっとしたイケメンなので、女子の方は彼がいる時間を確認してから行くことをオススメする。

 上記のあとはコチラでも開催↓

『たいせつなもの展』
2011年12月9日(金)〜24日(土)
11:00〜19:00(土日祝・最終日は17:00まで)
靖山画廊

 彼の作品、ちょっとだけ見せようか?
 ちょっとだけよ。



 ぐおーっカッコイイぜ!



 ジョン・アーヴィング、特別好きではないけどつい読んでしまう。コレを読んで痛く染み入ったセリフがありましたもので引用させていただきます。父親が、離婚後に初めて語り合う息子へ言い含めるシーン。

「もし許せないのだとしたら、いつまでたっても、しっかりした女性関係が持てないんじゃないかな。(略)」

「おまえが、もし母親を許せないとしたら、いつまでも母親を逃れられないぞ。おまえ自身のため、おまえの魂のために許せ。苦しみのもとになった人間を許せば、自分の肌からも抜けて外へ出たように自由だ。何でも見えるようになる」

 人を許すのは難しいけれど、できたほうがイイしそのほうが楽。
 どうしてもできない人に、とっておきの方法を教えよう…

 その人の前世が赤穂浪士だったと思うこと。

 良い事したのに切腹か…
 全力で許す!許します!

 ジョン・アーヴィングの中ではコレが好き☆ゴットロープ・ヴットは永遠のココロの恋人…。




それではまたらいシュー☆


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