嗚呼★ディスコミュニケーション

まこつ画伯から入稿だ。しかし何のことやらさっぱり分からない。まこつ画伯の昼食はいつもゆるふわでとらえどころがない。 問い合わせたところ「あ、タイトルつけてなかった!」と夜半に第2稿が送られてきた。
「ランチの時間」
…分からない。私には分からないよママン。しかも「遅れてごめんね☆」とエアリーな謝罪付きだ。いや、謝る必要など1ミリもないから内容の解説を頼む。この2度目のガッツポーズは何に向けた励ましなんだ。抱えている激務に対してのモノか?うまくいきそうもない恋の行方か?それともクリスマスパーティの幹事を暗に頼まれた?
いやこれはもしや、女子の会話における真髄を表しているのではないだろうか。
女子力、それは空気を読むチカラに他ならない。オンナなら、行間を読めと。
ランチの時間、まこつ画伯に求められた女子力…そして今、このマンガを受け取った私の女子力も試されている!!
挑発的なデトロイトスタイルに対する返答としてのエアリースタイル。ゆるふわ最強伝説、最終決戦の火蓋がここに今、切って落とされた!!!
わけない。だとしたら即降参。
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ブスとの闘い
なんで女子はどいつもこいつもかわいいんだ。私のブスが目立つだろうが。
強くてカッコいい先輩が私を殴りながら(スパーリングね)「その髪型いいね」とホメてくださったことがある。「ブス度が下がりましたか」と尋ねたところ、ただニヤリとなさっていた。
そう、これまで私の人生は、生まれついての己のブスとの闘いであった。多感な年頃から「ブス度を下げる」ことにあらゆる手を尽くしてきたこの私が、積み重ねたその極意を今日は教えよう。
1)対比法
これには二種類ある。まずひとつは「自己との対比法」。具体的には「ヘン顔」である。
ヘン顔をして普通の顔に戻ると、ヘン顔との対比により、いつもより少しかわいく見える。ヘン顔のインパクトによる隠蔽法とも呼べる。本当の姿を見られない限りブスはバレない。そういうワケで集合写真にはことごとくヘン顔で写ってきた。しかし公的記録と人々の記憶にはブスと刻まれるところが仕様上の欠点だ。
対比法のふたつ目は「他者との対比法」だ。平たく言えば「ブスの隣にいる」ということだ。自分以上のブスを即座に見つけ、その隣に陣取ることで、ブスとの対比により私はかわいく見えるはずだ。
しかしこの方法を実践したことはまだない。なぜならば私のブスは抜群の安定感を誇るからだ。ブス急募。ブスの方はどうか友だちになってください。
2)目くらまし
人の印象にはカオ、カラダ、ファッションセンス、知識などいくつか評価軸がある。この中のカオ以外の要素を際立たせることにより、評価軸から「カオ」を追い出す作戦、つまり目くらましは多用してきた。最たる例は一般的な「モテ服」を着用せず個性的な装いに目を向かせる派手服着用作戦である。
例として私の一張羅を紹介すると、新日本プロレスのライオンマークTシャツ、ユニクロTシャツから削り出したジョジョワンピ、真っ赤なサイクルジャージ、借りパクした青い革ジャン(北斗の拳仕様)などだ。
派手なヘアスタイルもオススメだ。求道のあまり頭髪のサイド部分を刈り上げたこともある。
しかしこの術は、ヘンな服でもヘンな髪型でも妖精の如き輝きを放つ木村カエラ女史の出現により封印された。くそっお前さえいなければ!
今となってはこの技を駆使したところで、ヘンな専門学校上がりのオバサンと思われるのが関の山だ。
ほかにも「オタク」な話題を提供することによりブスを目立たなくする方法もあるが、オンナのオタクは話が盛り上がっても恋に発展する可能性は低すぎるから注意が必要だ。
それにこの戦法は戦闘放棄とも呼ばれ、問題の根本的な解決にはなっていない。
カオ問題に真っ向から闘いを挑むのが、次の「特殊メイク」である。
3)特殊メイク
自分で言うのも何だが、素材は良いのである。
仲里依紗ちゃんに似ていると言われたことがある。確かに!仲さんが暴走トラックと正面衝突したとしたら私とそっくりだ。
宮沢りえちゃんと言われたこともある。言えてる!宮沢さんにクリームパイを叩きつけて粉だらけのプールに突き落としたら私とそっくりだ。
朝青龍と似ている自負はある。彼がダイエットしたら私とそっくりだ。
ここで特殊メイクの出番だ。仲さんを暴走トラックと衝突前に戻し、宮沢さんからクリームと粉を取り除き、朝青龍がお年寄りに向ける笑顔だけを抽出する作業である。特殊メイク技術の習得にあたってはIKKOさんをお手本にしたとだけ言っておこう(詳細は極秘事項)。
今日もチカラの限り特殊メイクだ。ちなみに腕前はハリウッドからお呼びがかかるようなかからないようなレベルである。
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しかしそもそもの問題を覆すような事件があった。
昼下がりの喫茶店。ひとりピンクの電話(声の高い巨体)と我修院達也(眉毛以外貧相)がデートしている。彼らの会話にキャッチボールはなく、ただただピンクの電話がしゃべりまくるだけ。飼っているミイ子ちゃん(猫)のこと、過去に男性から受けた数々のアタック(捏造疑惑)、好きなファッションセンター(しまむら)…いわゆる「調子乗ったブス」である。
しかし我修院は満面の笑顔で、彼女の膝を愛おしそうに撫でさえしている。
私はまるで稲妻に打たれたように立ちすくんだ。いや喫茶店だから座ってんだけど、ともかくビリっときた。
彼の世界には彼女しかいない。対比するにも対象すらいないのである。
彼にとっては彼女だけが自分に目を向けてくれる唯一無二の女性。つまり彼の世界に女性はただ一人なのである。
対比法を超えた超対比法!
俯瞰の視点を忘れた己を、私の中の大仁田厚が殴打する音が響き渡る中、私は理解した。
全ての人にとって美しくあろうという発想がそもそも間違いであった。好きな人にとってだけ美しくあれば良いのだと。
ブス改善作戦は、強くてカッコいい先輩にだけ照準を絞って再始動だ。
スパーリング中にかき集めた情報によると、AKBでのお気に入りは「たかみな」(147cm、頭につけたおりぼんがキュート)、「巨乳より貧乳が好き」である。
小さくてやせたおりぼんか…。160cmで屈強な四肢を持つ私の心はさっそく複雑骨折。しかしその時、どこからともなく声が聞こえた。
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」
先生〜!バスケがしたいです!ちがいます!彼氏が欲しいです!
精一杯やった結果、どう見てもちょっとしたミュータントだ。
でもせんぱいにだけかわいくあればいいんだ問題ない。
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